カーボンナノチューブ

カーボンナノチューブとは? カーボンナノチューブとは、中空円筒の構造をした炭素の結晶で、直径0.7〜70nm
(1nmは1mmの百万分の1)と髪の毛の約数万分の一のチューブ形状の物質です。
高いアスペクト比(長さと直径の比率)から、1グラムあたり100〜1000㎡とされる広大な
表面積が大きな特徴で、糸状のダイヤモンドの様な強度も特徴とされています。
カーボンナノチューブの原子構造は”竹かご”に例えられる蜂の巣状の規則正しい六角形の結合で、
その六員環(原子が正六角形の各頂点に並んだ状態)ネットワークが構成するグラフェンシート
(炭素原子のシート)が単層または多層の同軸管状に形成されています。
単層がシングルウォールナノチューブ,二層がダブルウォールナノチューブ、多層がマルチウォール
ナノチューブと呼ばれます。弊社ではシングルウォールナノチューブの製造に関する特許を取得し、
多孔質ガラス穴径や粒子サイズ分布をコントロールして、カーボンナノチューブ合成に適した
成長環境を整備することができ、均一的な製品の量産が可能です。
単層カーボンナノチューブの特性、応用 単層カーボンナノチューブは銅の1000倍以上の高電流密度耐性、銅の10倍の高熱伝導特性、
高機械強度、細長い等の特性があり、導電材料として応用が可能です。
また、導電性の高さと表面積の大きさ(閉口状態で1000㎡/g、開口状態で2000㎡/gに達する)
等の特性も併せ持ちます。
以上のような特性から、高容量電池、キャパシタ、照明、ディスプレイや宇宙エレベーター等への応用が
考えられます。
単層カーボンナノチューブ製造技術 1991年飯島澄男(当時、NEC筑波研究所.現NEC特別主席研究員、産業技術総合研究所ナノ
チューブ応用研究センターセンター長、名城大学大学院理工学研究科教授)によって多層カーボンナノ
チューブがフラーレンを作っている時にアーク放電した炭素電極の陰極側の堆積物中から初めてTEM
(透過電子顕微鏡)によって発見されました。
この後、遠藤守信(当時、信州大学工学部教授。現先鋭領域融合研究群カーボン科学研究所特別特任
教授)により、化学気相成長法によるカーボンナノチューブの大量生産技術が開発されました。
製造方法としてはアーク法、レーザーアブレーション法がありますが、大規模な設備が必要であり、
少量生産、性能の均一的な再現ができないなどの問題があります。
また、現段階ではシリコンウェハー等の担体を使用するCVD法が実用的で、CVD法の一つである
スーパーグロス法が国内最大の製造法ですが、生産量が少ない、製造したカーボンナノチューブに
欠損が多く・もろい等の問題があります。
分相法多孔質ガラス担持体方式CVD法 弊社の製造法は分相法多孔質ガラス担持体CVD法と呼ばれる方法で、多孔質ガラス穴径や
粒子サイズ分布を自由にコントロールして、カーボンナノチューブ合成に適した成長環境を整備し、
欠損のない、良質な単層カーボンナノチューブ等、均一な製品の量産が可能となります。